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博士論文草稿       大野南淀

そうして
6月
だから7月
7回も周りに回って
つまり、球体が もう

大工が屋根の上で槌を高らかに振るうとき
屋根の下で少女が
(少女が?)
本の中に溺れまいと必死に
そう 必死に
泳いでいる そう
山の中の草の中に漂う牛のように
(ように?)
だから もはや男とも女とも馬とも蛙とも
屋根を見上げる その

女が言うだろう
ねえ 今日の夕飯は何を作ってくれるの?
その女の声を正確に複写する、男が
男が 400メートル先で言うだろう
ねえ 愛と呼ぶに値するなんて
なんて 固い 呼び方 なの
それをビスケットの練り方の方へ沈めるならば
ああ ならば あ
あ 日の出も日没も音がするんだね
ぴょん っていう 
音だっぴょーん
鉄のような (そう、ようにだ!)
激しい回復の槌音が
そう 全てはようにだ!
激しい激しい肯定の音は 誰かへの
いや 誰かの耳元へ (難解なサイン 通り過ぎるサイン)
届けられるとも知らず肯定され
全ての接続詞がふいに接続を欲することを中断する
その一瞬に
ふいに
労働の放棄と勉学の促進が
慟哭するように矛盾
微笑を湛えた皮肉
日曜の朝の調和
な わけ
など なく
「ねえ あ・な・た そこには愛が欠けているのよ」
「そうかい、君 ジプシーには、
曜日の感覚などないのだよ、もっとも僕には
昼夜が…」
――風が吹くと
――吹いた風が
ねえ そうして だから つまり ああ もう あ つまり なんて いや…
接続を欲する装置が接続そのものになってしまい
「草がとても おいおいと鳴くものだから」
       とっくに     カラフルに
「あなたが蹴り棄てたサンダルが」
              だけなのよ
       どこの国だろう?

風が吹くと そこには
「っていうか今ってー麺類麺類した麺類って麺類の
ちょー ってかんじー!」
とか覗き回る蕎麦屋が儲かるから
おれは おまえは あ
「したがいまして…
AはBの息子になりますから
BはAの娘たりえまして」
契約書で ピザ屋が 過去を捨てる
吹いた風が 追いかけてくる

追いかけてくるな
ちょー ちょー ちょー チョー ちょーちょちょー

スパイダーマンって何人だっけ?
一物が二つあるらしいぜ
そりゃ 玉に傷ってところだな
ふざけるな
重すぎるだろうが
「キューが玉に当たる角度なのよ あ…」

何べん言わせればいい 重すぎるだろうが

少女が全開の笑顔で女になるとき
何かがむしろ乾いている
いいや 誰かが どこかで 乾いている

――そこには? 誰かが? どこかで? 
「オウチニカエロウヨイエガナクテモ」
「モットモットモットモット」
「オトコクサイシワガレゴエ」

彼女は缶詰を
ゆっくり 開けた
缶切りで ゆっくり
ほとんど 優雅なまでに
開けて 中のニジマス
が 草むらに解き放たれてゆく
皿など気にしない 彼女 だ
缶は逆さに安定している






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