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帽子、白線、沈黙――ハーマン・メルヴィルは彼女をどう?     大野南淀

天気の白い線に
刻み目が
入り、気持ちの
荒んだ男が、帽子
を目深に
かぶり、魂にまで、中国にまでも深く
降りてゆこうとする男たちの
ひさしを、殴り落としていく その
先には、港がある。穏やかな護岸の上に
誰かの穏やかな目が窓を、
開く。男に値札はぶらさがっているのか?
おれには分からない
おれには分からない
何も持っていないからだ
札束に興味が持てないほどに
穏やかなのか…

  湖的大海
  如女額動
  不波立静
  泥水寧清

帽子を買いに行く
途中、点線の
向こう側の運転手が、
貴族的にタバコをほうり捨て ぺこりと
頭を下げておれは性別を 捨てた
性別を取り戻すために
おれは帽子を買いに行く
はずだった はずだった
未来が おれに性別を与え
人間を奪っていく
シンプルに
シンプルに

帽子を買いに行く男女は
いつも無言だ
無言の中で何かに蓋をしている
彼らが買う帽子の窪みは
空気が今、詰まっているが
真空になる 
気をつけなさい
真空になる
同量の空気が、帽子で
カバーしきれない頬と唇に
吹き付けられるだろう
何かが追いかけてくるとしても
何かが追いぬいていくとしても
それはとても良いことだ

意味のない値札がたくさん埋められた
太平洋にたくさん浮かぶ墓標のように埋められた
綿花畑はとても白くて
だから 白くないところが
目立つ とても良いことだ
帽子を発明した奴は、今、
孤独に興味をなくして、今、
一人っきりで綿花畑の中で寝転がっている
とても罪深いことだ
とても罪深いことだ
おれが買う帽子には
ポリエステルが黙りこくっている
帽子を買おう
それは悪くないことだ
きっと悪くないことだ




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